楽しいの先へ、
美しいの極へ。

信号待ち、熱い視線が注がれる。
スープラとはそういうクルマだ。
さらに女性ドライバーであることが、
注目度をより高めることにもなっていた。
それには一言申したいところであったが、
スープラを操る高揚感が男性視線を一掃する。
青に変わるや否や私は瞬時にスープラを発進させた。

色づく秋を求めてのトリップ。
雨の日でもスープラは、
路面に吸い付くかのような
安定した心地いい走りを見せてくれる。
まず最初に目指すのは耶馬渓だ。
スープラのボディをしならせながら、
コーナーをぐんぐん攻めていくと、
私の視界はパッと明るくなった。

「わぁ、錦絵みたい」
思わずそんな言葉が飛び出す。
山水画に例えられることの多い耶馬渓だが、
紅葉の季節になると別の風情を醸し出してくれる。
岩山と紅葉の絶妙なコントラストに酔いしれながら、
フィナーレ間近の秋の耶馬渓を一気に駆け抜けた。

由布院に入りまずはランチを済ませ、
目的地の一つである由布院駅アートホテルへ。
ここで美大時代の友人の個展を鑑賞する。
久々に会う彼女は昔とまったく変わっていない。
だが展示する絵は学生時代の繊細なイメージと異なり、
力強く生命力溢れる花々が大胆な筆致で描かれていた。
友人と別れ、湯の坪街道をスープラで進む。
紅葉巡りもいよいよ後半戦へと差し掛かる。

やまなみハイウェイに入ると、
パノラマ状に拡がるくじゅう連山には
霧が立ち込めより幻想的な世界を映し出していた。
私はここぞとばかりにアクセルを踏み込んだ。
グリーン、イエローそしてレッド。
視界に飛び込んでくる山々の木々は、
シグナルのように点滅を繰り返し、
スープラのボディへと映り込んでいく。
それはまさにスープラの紅葉であった。

私はその美しさに酔いしれた。
同時にスープラに秘められた、
ポテンシャルの高さを改めて感じていた。
スープラとなら楽しいの先へ行ける。
スープラとなら美しいを極められる。
私とスープラと共鳴していた。
心と走りが一つになるような、
そんな関係についになれたのだ。

高速を降り、交差点で信号を待つ。
隣のクルマからの熱い視線に対して、
余裕のVサインをしてみせた。

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